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神様と聖人
(2008.07.23)
「さて」 「どうした」 「ついに、蹴球計画も100万ヒットを数えることになった」 「実にめでたい」 「これも、ひとえに皆様のおかげであり、心より感謝する次第であります」 「いい心がけや」 「別に、君に感謝してるわけじゃないんやけどな」 「相棒も大切にせなあかんで」 「心にとめとくわ」 「そうしてくれ」 「それはそれとして、この話では、記念の意味もあって、外装が昔の小話の枠になっている」 「懐かしいな」 「そして、神様と聖人というテーマを考えてみたいわけや」 「脈絡がよくわからんが、よかろう」 「ユーロで大活躍したイケル・カシージャスは、サン・イケルとよく呼ばれるやろ」 「聖イケルということやな」 「聖というのは、要するに、聖人ということや」 「そうやな」 「ただ、日本では、選手に対して、そういう呼び名は生まれない」 「そりゃ、キリスト教がスペインほど広く信じられている国ではないからな」 「それで、もしカシージャスが日本人だったとしたら、”サン”の部分がどうなるんだろう、という疑問がわいたわけや」 「相変わらず暇じゃのう」 「そうすると、やっぱり”神”ということになると思うわけや」 「”イケル神”とか、”イケルは神”とかかね」 「それとか、神様、仏様、イケル様とかやな」 「ちょっとニュアンスが違うよう気もするが」 「そして、さらにそれを裏返して、スペインで神、つまりディオスと呼ばれるようなサッカー選手がいるかと考えてみると、思い浮かばない」 「確かに浮かばんな」 「それはやっぱり、キリスト教の影響やと思うんやけどな」 「そういえばや」 「なんや」 「それに関しては、一つ話があってやな」 「だからなんや」 「昔、ジーコが日本代表の監督をやってたやろ」 「昔いうても、2年前やんか」 「ドイツワールドカップの時、スペインのアナウンサーと解説者が面白い会話をしていた」 「ほう」 「試合の途中で、解説者が、”ところで、ジーコは日本でなんと呼ばれているか知っているか?”とアナウンサーに聞いた」 「ふむ」 「アナウンサーは、当然知らないと答え、解説者は、”カミサマと呼ばれていて、それはディオスという意味なんだ”とのたもうた」 「日本では、神様やな」 「それを聞いたアナウンサーは、”そんな馬鹿な、彼は人間であって、人間が神様なわけないじゃないか”と反論した」 「なるほど」 「なるほどやろ」 「人間と神様は明確に別であって、人間である以上、神ではありえないということやな」 「それが瞬間的に出てくるところに、スペインは本当にキリスト教の国なんだと実感させられる」 「日本は、人間が神様でもなんの違和感もないからな」 「大宰府天満宮の神様が菅原道真公という人であることになんの疑問もない」 「そう考えると、やはり、スペインで神という呼称が使われないのは、その辺りに原因があるということかね」 「わしもそう思って安心してたんやけどな」 「まだなんかあるんか」 「最近、スペイン人で神と呼ばれる人が出たんや」 「ほう」 「その人の名を、ホセ・トーマスという」 「史上最高の闘牛士と呼ばれている人やな」 「マドリーのベンタスで、ものすごい闘牛を見せて、次の日の”El MUNDO”という新聞に、”Eres un Dios”という見出しが踊った」 「エレス・ウン・ディオスか」 「あなたは神様です、ということやな」 「となると、スペインでも、人を神と呼ぶことがあるということか」 「そうなる」 「意外やな」 「どうやら、人間を超越したパフォーマンスを見せると、ディオスと呼ばれることがあるらしい」 「ということは、サッカーでディオスと呼ばれる選手がいないのは、それだけのものを見せていないということかね」 「そうかもしれん」 「カシージャスなんか、よく人間を超越したセーブを見せるのにな」 「カシージャスがディオスじゃなくてサントなのは、なんとなくわかる気がするけどな」 「どういう意味や」 「勝手なイメージとして、聖人として列せられる人は、受難というか、とてつもない苦難に会った人、それに耐えた人、というのがある」 「そうかね」 「例えば、長崎で聖人に列せられた人達は、弾圧にあって処刑されたし、日本に一番なじみの深いザビエルは、海を渡って布教を続け、異国の地で倒れた」 「ザビエルは、今はナバーラ地方の守護聖人やな」 「それで、ここ数年のマドリーでのカシージャスの姿を思い起こしてみると、来る日も来る日も中盤に穴を空けるザル守備の後ろを守り、雨霰と飛んでくるシュートの群れに立ち向かい黙々とセーブし続ける。チームの歪みを最終的に一人で背負い耐え続けるその姿は、サントのイメージに重なるのではないかと思うわけやな」 「見事な妄想であるとだけ言っておこう」 「そんなこんなで」 「スペインサッカー界でも神と呼ばれるような、飛びぬけた存在が生まれるか否か」 「今後も注目というところで」 「また次回」 「ご機嫌よう」 |
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